現在、信州大学医学部附属病院循環器内科では、虚血性心疾患による重症心不全の患者さんを対象とした「iPS細胞を用いた心筋再生の治験」を行っております。
重篤な心筋梗塞では、数億個もの心筋細胞が失われてしまい、難治性の心不全を発症することが知られています。ヒトを含む哺乳類は、失われた心筋細胞を元に戻す自己再生能力を持っていません。そこで、理論的に体を構成するすべての細胞へと分化できるiPS 細胞から心筋細胞を作製し移植する「再生医療」の実現が期待されています。
以前に私たちは、慶應義塾大学医学部循環器内科、Heartseed株式会社とともに、臨床治療用のヒトiPS 細胞から作製した心筋細胞を、心筋梗塞を発症させたカニクイザルの心臓に移植するという前臨床試験を行いました。結果として、細胞移植を受けたサルの心機能を回復させることに成功し、さらに従来の報告と比較して心筋細胞移植後に発生する心室性不整脈の副作用が格段に少ないことを明らかにしました。
この研究成果に基づき、同じ臨床治療用のヒトiPS細胞を用いたヒトを対象とした臨床治験(LAPiS 試験)が国内で開始されましたが、2024年8月から当教室もこの臨床治験に参加することとなりました。本治験にご興味がある方、参加をご希望される方は、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。また、以下の治験に関するポスターやホームページもご参照くださいますと幸いです。
今後も私たちは、心筋梗塞による難治性心不全に苦しむ患者さんに、「再生医療」という新しい根本的治療を提供できるように努めて参りますので、ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
信州大学医学部附属病院臨床研究支援センターのホームページ
https://www.shinshu-u.ac.jp/hp/bumon/i-chikencenter/general/list.html
当科で施行したiPS細胞を用いた心筋再生前臨床試験に関するホームページ
https://shinshu-junkanki.jp/20240430-2/
Heartseed株式会社のホームページ
https://heartseed.jp/