女性医師、女子医学生の皆様へ  初期研修、医学生向け

循環器内科と聞いて、どのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。
一分一秒を争う現場、緊急対応が多い、昼夜問わず呼び出される、忙しいなどのイメージでしょうか。確かに、決して時間的余裕のある科ではないかもしれません。ですが、今にも死にそうな状態で搬送された患者さんが回復して元気に退院していくとき、外来で元気な姿を見せてくれたとき、なんともいえないやりがいを感じます。そんなやりがいを共有する医師たちが、日々切磋琢磨しながら、診療に当たっています。

私が医師を志したとき、漠然と「内科医になりたい」と思っていました。医学部に入り、細分化された内科学の中で一番興味をもったのが循環器内科でした。ですが、先に述べたようなイメージから、自分がその中で働けるのだろうか、また、結婚して子供を産んで育てて・・・というごく普通の夢も抱いていましたので、日常的に緊急対応したり、カテーテル手技に入ったりする中で、家庭との両立が可能なのかどうか、迷いがなかったわけではありません。ですが、患者を救命するために尽力する姿に憧れて、私もこうなりたいという思いから入局を決めました。

研修医時代はとにかく必死でした。患者さんのことで悩んだり、自分が不甲斐なくて泣けてきたり、食事をとる時間も十分ではなかったり、毎日が忙しく過ぎていきましたが、多くの処置や症例を経験し、だんだんできることが増えました。また、多くの先輩方にお世話になり、大変だったはずなのに、楽しく働いたことばかりが思い出されます。

 

大学病院では入院診療において経験を積みましたが、関連病院に出て、初めて入院から継続して外来診療を行うことを経験します。この中で少し循環器診療に対する見方が変わりました。患者さんにとって、循環器疾患の急性期というのは大きなイベントですが、それは通過点であること、その後の慢性期をいかに過ごすかが重要であること。
循環器疾患における慢性期診療の大切さを知りました。また、そもそも循環器疾患を発症しないための予防医療も大切だと感じました。循環器内科医にとって、救急治療やインターベンションは誰もが憧れ、夢中で研鑽を積むものだと思います。

医療技術の進歩はめざましく、循環器領域でもここ数年の間に弁膜疾患に対するカテーテルインターベンションや不整脈に対するアブレーション治療やデバイス治療などが普及しており、最近の後期研修医の先生たちは、そのような手技にも若いうちから触れることができ、うらやましく思います。ですが、循環器診療の醍醐味はそれだけではありません。急性期や手術治療を経て、その後の慢性期まですべてのphaseにおいて循環器内科医として関われるポイントがあるのです。慢性期診療の代表格が心臓リハビリテーションという領域です。心リハは患者の安全な生活復帰やQOLの改善のみならず、生命予後の延長までを目的としています。慢性期管理が主体となりますので、男女問わず勤務に時間的制限のある医師も働きやすい領域です。このように、意外と幅広い働き方の選択肢があることも、循環器内科の魅力といえるでしょう。

さて、女性医師にとって、自身のキャリア形成と妊娠・出産・育児といったライフスタイルとの両立は重要な課題です。人生の中で何を優先するかはそれぞれだと思いますが、それが尊重される医局だと感じています。育児中の女性医師も数名在籍し、できる形での勤務をしています。循環器内科医の業務形態が急性期から慢性期、予防医療までと比較的多様であることも、様々なライフステージにある女性医師が活躍できるポイントであると思います。
医師不足が深刻な問題となっている中、女性医師がいかに自身のキャリアを継続しつつ働けるかということは、今後の重要な課題となってくると思います。

現在、当医局には女性医師12名(学内5名、学外7名)が在籍し、医局出身の先輩女性医師も県内の病院やクリニックで活躍されております。女性医局員の比率は全体の17%と少なめですが、男性顔負けのガッツと女性ならではの細やかな診療により活躍しています。当医局の女性医師たちは、それぞれのライフステージに合わせて楽しく働いており、それぞれが若い誰かのモデルケースになるのではないかと思います。循環器内科に興味のある女性医学生、若い女性医師のみなさん、是非一度私たちの医局へいらしてください。きっと、将来循環器内科医として活躍するあなたの姿が想像できると思います。実際は思った通りに物事は運ばないかもしれません。それでも、あなたの働き方を受け入れる寛容さが当医局にはあると思います。ぜひ、一緒に働きましょう!