高齢化社会の中で求められる安全で確実なカテーテル治療を長野県中の患者様にお届けします
当科では2011年度から動脈硬化性疾患に対するハイレベルな地域医療の実践のために寄附講座を設立・継続しております。本講座は三代目となり2019年度に設立いたしました。
基本方針は
- 最先端の血管内治療(動脈硬化性疾患に対するカテーテルを用いた治療)を患者様にご提供すること。
- 若手医師にロジカルな教育を行い、この分野において世界をリードし地域医療の中心を担える人材の育成。
- 常に最新の情報を世界に発信し続けること。
になります。
心がけているのは最先端のカテーテル治療の追及にあります。カテーテル治療は直接病変を切開する外科的手術と比較し、手首や足の付け根の血管を穿刺し2㎜前後の管(カテーテル)を挿入、病変に進めることで行います。よって低侵襲であり術後数日での退院が可能です。
最新の医療は最新の設備がなければ成しえません。その点、本講座は最新式のロータブレーター(石灰化プラークを切削するドリル)、エキシマレーザーカテーテル(血管内血栓を蒸散させる)、方向性アテレクトミー(大量についてしまったプラークをカンナのように削り取る)といった治療法の準備があり、患者様の病態に応じて使い分けられる体制が整っております。
冠動脈形成術の入院の流れ(3泊4日)
治療が非常に難しいといわれる石灰化病変や慢性完全閉塞病変にも最先端のテクニックを用いて高い成功率を維持しており、他院治療困難例も受け入れております。また、時に応じて各病院に専門性の高いスタッフを派遣し現地で治療を行うことも行っております。
こういった治療を、ガイドラインに基づきながら個々の患者様の意思を尊重し、多数の医師の意見を参考にしながら至適治療戦略を練り患者様にお届けします。
また、定期的に市民公開講座を開催することで動脈硬化性疾患にならないようにするにはどうするのか?なったらどうするのか?といった情報を皆さんに分かりやすくお伝えしてまいります。
本講座が動脈硬化性疾患における長野県の診療全体の錦の御旗のような存在でありたいと思っております。本講座の活動から数多くの優秀な医師を育成し、安全で質の高い血管内治療が長野県のどこに行っても患者様にご提供できるよう邁進して参ります。
講師:海老澤聡一朗
診療助教:能見英智
前年度活動報告
慢性血栓塞栓性肺高血圧に対する経皮的肺動脈形成術の様子
閉塞している肺動脈をバルーンで拡張し血流を改善させることで、肺動脈圧が下がり息切れなどの症状が改善します。
左前下行枝の石灰化病変に対しロータブレーターを用いて治療した一例
図左: 左前下行枝に石灰を伴う高度石灰化病変を認める
図中: 1.75mmのローターブレーターで切削
図右: 血流が改善し治療終了