信州大学循環器内科では、期外収縮のような軽い不整脈から難治性、致死性不整脈まで幅広く治療を行っております。

2011年より不整脈先端治療学講座が発足され、県内外の不整脈診療の発展のために活動を行っています。
院内にはアブレーション治療の最先端治療機器としてCARTO system, Ensite system, RHYTHMIA system®が導入されており、心房細動に対する各種バルーン治療も全て可能な状況です。他院で治療困難であった難治性不整脈や、先天性心疾患症例、致死的不整脈に対する治療も積極的に行っております。

 

また、デバイス治療としてはペースメーカー、リードレスペースメーカー、植え込み型除細動器 (ICD, SICD) 、両心室ペーシング機能付き植え込み型除細動器 (CRTD) の留置術は勿論、数少ないリード抜去術の認定施設となっております。近隣の病院からもご紹介頂き、リード抜去に関しても日本国内では有数な施設と自負しています。また、リードレスペースメーカーやSICD(皮下植え込み型除細動器)などのリードを用いないデバイスの使用も適応を考えながら積極的に行っております。

我々の目標は、知識・技術の向上と長野県内の不整脈診療のレベルアップですが、若手教育も積極的に行っており一緒に活躍できるようにスタッフ一同頑張っています。

進行中の研究プロジェクト

  1. デバイスに関する臨床研究
    (ア)双方向性遠隔システムの確立:BIOTRONIK JAPNとの共同研究 (JST OPERA)
    (イ)遠隔モニタリングの未受信アラートに関する研究
    (ウ)4極リードを用いたCRTDの有効性についての研究
    (エ)デバイス抜去術の他施設共同研究 (JLEX)
    (オ)小児領域におけるSICDの有用性に関する他施設共同研究
  2. カテーテルアブレーションに関する臨床研究
    (ア)カテーテルアブレーション治療全例登録プロジェクト (JAB)
    (イ)RHYTHMIA system® を用いたWPW症候群に対する治療の有効性について
    の研究
    (ウ)心房細動アブレーションの有効性に関する予測因子の研究
    (エ)心房細動と洞不全症候群の関連性に関する研究
    (オ)長野県及び信州大学関連病院におけるカテーテルアブレーション症例の予後調査(Shinshu-AB Registry)
  3. 洞不全症候群症例の遺伝子検査他施設共同研究
  4. 長野県及び信州大学関連病院におけるカテーテルアブレーション症例の予後調査(Shinshu-AB Registry) 予定。

図: WPW症候群(B)のRHYTHMIA® map

3心房心における心房頻拍のCARTO MAP
Successful catheter ablation of atrial tachycardia in cor triatriatum sinister: Heart Rhythm 2020

不整脈は上記表の様に多種存在します。治療を要するものから経過観察で良いものまで、重症度によって分けられます。一般的に期外収縮は良性なものが多く、自覚症状を伴う場合には薬物療法が適応となりますがほとんどの場合は治療は有しません。頻脈性不整脈に関しては、薬物療法及び心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)治療が適応になります。症状を伴う徐脈性不整脈は、デバイス治療(ペースメーカー植え込み術)が適応となります。

ここではまず現在日本では有病数が100万人をこえる心房細動の治療をご説明致します。
心房細動は、発症すると左心房の中に血栓が形成されるため、血栓塞栓症による脳梗塞のリスクが出現します。心房細動が原因である脳梗塞は予後が悪く、塞栓症予防として抗凝固療法が重要になってきます。しかし、心房細動の根治療法は心筋焼灼術( カテーテルアブレーション) 治療しかありません。
心房細動のきっかけとなる興奮のほとんどは、肺静脈が原因とされています。(図1) 当科では、肺静脈に異常興奮を閉じ込め、心房細動の発生と維持を抑える治療法として、高周波カテーテルもしくはバルーン( クライオ、ホット、レーザー) を用いた拡大肺静脈隔離を行っております。(図2)
治療は静脈内投与による麻酔薬での鎮静下で左右足と首の付け根の血管からカテーテルを入れて治療を行います。最近では発作性心房細動の方では、1回で根治できる方が増えています。

【リードレスペースメーカー】
右心室に直接ペースメーカーを植え込むことでリード(電線)が不要になり感染のリスクが減ります。

【SICD(皮下植え込み型除細動器)】
血管内にデバイスが入らないので心内膜炎のリスクが減ります。

不整脈寄付講座の紹介

心房細動は肺静脈から発生する上室性期外収縮が主たる原因です。

心房細動に対するアブレーション治療 (拡大肺静脈隔離術)

図2-2. クライオバルーン(冷凍バルーン)アブレーション

図2-3. SATAKEホットバルーンアブレーション

図2-4. 内視鏡的レーザーバルーンアブレーション

当院ではあらゆる3Dシステム等の機器を揃えており、難治性不整脈に対する診断、治療を含め国内最高峰の不整脈治療を有すると自負しております。

当日受診が必要と思われる場合

夜間・休日受付を含む
胸痛センターホットライン(24時間対応)
電話 0263-37-2222(高度救命救急センター内)

翌日以降の受診で問題ない場合

外来予約 etc.
循環器内科 地域医療連携室(平日・日中の受付 8:30〜17:30)
電話 0263-37-3487 または 0263-37-3486(医局)
FAX 0263-37-3489